五十嵐太郎さんにお声がけいただき、翻訳に携わった『図鑑 建築全史』が発刊されました。大判で、きれいな建築写真が数多く収録されており、図鑑として有用だなと思わされます。パラパラとページを捲るだけでもいろいろな発見があります。私は西洋近代の一部にしか関わっていませんが、全史と謳うだけあって、グローバルに目配りされたストーリー構成で大変勉強になります。建築史をここまでエネルギー問題に引き付けて語る点にも新鮮味を覚えました。このボリュームにしては良心的な価格のようにも思いますので、ぜひ多くの方に手に取ってもらいたいと思います。この間、東京書籍の藤田さん、小島さん、訳者の一部で、出版打ち上げをしたところです。猛暑の中、有楽町のメキシコ料理屋で束の間ながらたのしいひとときを過ごすことができました。
近況報告
2025年9月1日月曜日
2024年12月20日金曜日
朝倉書店から『オックスフォード建築辞典』が出ました
ずいぶん長い時間がかかりましたが、このたび『オックスフォード建築辞典』が刊行されました。鈴木博之先生監修でおわかりのとおり、先生の存命中にスタートしたプロジェクトでした。グローバルに古今の建築情報を集めた浩瀚なエンサイクロペディアですので、項目はメジャーからマイナーまで多岐にわたり、翻訳作業はなかなか一筋縄ではいかないミッションでした。それでも専門項目の翻訳は可能な限りもっとも詳しい方にお願いしました。鈴木先生のお声がけがなければけっして揃うことのなかった訳者布陣です。その後、いちばん重要な存在を欠いたこともあって、このプロジェクトは何度か頓挫しかけたのですが、それでもなんとか刊行までたどり着けたのは、訳者の皆さん、朝倉書店のがんばり、そして、中島さん、海老澤さんのおかげと言うほかありません。恩師、みなさまに感謝を申し上げたいと思います。個人で購入するのはやや躊躇われるお値段になっておりますので、図書館等で見つけたらぜひご利用いただけるとうれしいです。
2024年1月20日土曜日
新美の巨人
テレビ東京の「新美の巨人」に作品解説者として出演しました。取り上げられた建築作品は、軽井沢の「石の教会」です。たまたま有機的建築の研究をかじっていたためにお声がけがあったのでした。「石の教会」が果たしていわゆる「有機的建築」なのかについては、いろいろな意見があると思うのですが、設計者のケンドリック・ケロッグが「有機的建築」として制作したのは事実です。ケロッグは「有機的建築」のスターであるフランク・ロイド・ライトに憧れがあったようですね。「石の教会」は単純なアーチの繰り返しではありますが、大きさと角度を少しずつ変えることによって全体に流れをつくっています。室内には緑や水が配されて、違う意味で「有機」的な味付けがなされています。ほんのチョイ役出演でしたが、大変良い経験をさせていただきました。
2023年11月24日金曜日
『建築思想図鑑』が出版されました&出版記念イベント
9月に学芸出版社から『建築思想図鑑』が出版されました。建築家の松田達さんにお声がけをいただき、編集者として関わらせていただきました。松田さん、林さん、川勝さんに学ぶことも多かったです。図鑑だけに、寺田晶子さんによるイラストはとても重要で、本書最大のウリでもあります。さらにさらに、執筆者も各テーマに通じた専門家/建築家のみなさんで、各ページはとても読み応えがあります。24日の夕刻に出版記念イベントが墨田区の喫茶ランドリーで行われました。最初にモグラ席で編集者によるラジオ?収録が行われ、その後、著者他を交えたメイン・イベントでした。当日の様子は某筋から配信されているようです。台湾でも翻訳出版されるとのことで、本書に携わった人間の一人として大変うれしく思います。編集担当の神谷さんは相当苦労されただろうと想像します。お疲れ様でした!
2023年7月5日水曜日
シラスに登壇しました
昨晩、五十嵐太郎さんと市川紘司さんが主催するネットメディア「シラス」に登壇いたしました。「都市計画と建築修復の接点を探る」というテーマは、イタリアのヴィンチ村、その後渋谷での会食時に五十嵐さんと相談し決めさせて頂きました。私としては、もう随分前になりますが博士論文の題材として取り組んだイタリア近代の建築と都市の問題について振り返る良い機会になりました。久しぶりすぎてど忘れしたところ、いただいたご質問にうまく返答できなかったところもありましたが、個人的には大変エキサイティングな勉強会、有意義な時間となりました。一発本番の収録イベントに慣れていない私の経験不足もあって、あたふたドキドキの2時間でしたが、進行役の五十嵐さん、市川さんにはうまくフォローしていただき、なんとか乗り切ることができました。この場を借りて御礼申し上げます。
2022年12月13日火曜日
『ガエ・アウレンティ 日本そして世界へ向けた、そのまなざし』展
イタリア文化会館で『ガエ・アウレンティ 日本そして世界へ向けた、そのまなざし』展があり、12日の記念シンポジウムに登壇してきました。シンポジウムは陣内秀信先生の進行で、ミラノのガエ・アウレンティ・アーカイブをはじめとする専門家も登壇されました。ガエ・アウレンティと協働経験のある徳家統さんのお話をうかがう貴重な場でもありました。展示された図面や模型は、彼女の作品を全体的に眺めるのには程良い点数でした。なにより文化会館自体がガエ・アウレンティの作品であり、展示品と展示空間の絶妙な一体感を味わうこともできました。展覧会を記念して図録も出版されました。私は「建築家ガエ・アウレンティの足跡」という論考を書かせていただきました。この企画においては、文化会館館長のシルヴァーナ・デ・マイオ氏に大変お世話になりました。謹んで御礼申し上げます。
2020年10月20日火曜日
『評伝フィリップ・ジョンソン 20世紀建築の黒幕』
左右社から『評伝フィリップ・ジョンソン 20世紀建築の黒幕』が出版されます。マーク・ラムスターによる建築家フィリップ・ジョンソンに関する評伝の翻訳本で、私は監修をさせていただきました。ジョンソンの代表作「ガラスの家」を訪れたのはもう10年ほど前になります。本作がミースの作品と似ているなぁとは思ってはいましたが、なぜそうなのか、についてはモヤモヤした状態でしたので、あらためてラムスターの本には学ぶところ大でした。原著タイトルは「ガラスの家の男」ですからね。翻訳を担当したのは松井さんです。500ページもの大著をよくぞ訳し切ってくれました。編集担当の東辻さんにも大変お世話になりました。お二人には感謝申し上げます。本書のお話があったのは2年前くらいですが、本書にも登場するドナルド・トランプが大統領でいるうちになんとか刊行の運びになりました。トランプとジョンソンにどんなつながりがあったのか、ぜひ本書を手にとってみてください。