2024年1月20日土曜日

新美の巨人

 テレビ東京の「新美の巨人」に作品解説者として出演しました。取り上げられた建築作品は、軽井沢の「石の教会」です。たまたま有機的建築の研究をかじっていたためにお声がけがあったのでした。「石の教会」が果たしていわゆる「有機的建築」なのかについては、いろいろな意見があると思うのですが、設計者のケンドリック・ケロッグが「有機的建築」として制作したのは事実です。ケロッグは「有機的建築」のスターであるフランク・ロイド・ライトに憧れがあったようですね。「石の教会」は単純なアーチの繰り返しではありますが、大きさと角度を少しずつ変えることによって全体に流れをつくっています。室内には緑や水が配されて、違う意味で「有機」的な味付けがなされています。ほんのチョイ役出演でしたが、大変良い経験をさせていただきました。

2023年11月24日金曜日

『建築思想図鑑』が出版されました&出版記念イベント

 9月に学芸出版社から『建築思想図鑑』が出版されました。建築家の松田達さんにお声がけをいただき、編集者として関わらせていただきました。松田さん、林さん、川勝さんに学ぶことも多かったです。図鑑だけに、寺田晶子さんによるイラストはとても重要で、本書最大のウリでもあります。さらにさらに、執筆者も各テーマに通じた専門家/建築家のみなさんで、各ページはとても読み応えがあります。24日の夕刻に出版記念イベントが墨田区の喫茶ランドリーで行われました。最初にモグラ席で編集者によるラジオ?収録が行われ、その後、著者他を交えたメイン・イベントでした。当日の様子は某筋から配信されているようです。台湾でも翻訳出版されるとのことで、本書に携わった人間の一人として大変うれしく思います。編集担当の神谷さんは相当苦労されただろうと想像します。お疲れ様でした!

2023年7月5日水曜日

シラスに登壇しました

 昨晩、五十嵐太郎さんと市川紘司さんが主催するネットメディア「シラス」に登壇いたしました。「都市計画と建築修復の接点を探る」というテーマは、イタリアのヴィンチ村、その後渋谷での会食時に五十嵐さんと相談し決めさせて頂きました。私としては、もう随分前になりますが博士論文の題材として取り組んだイタリア近代の建築と都市の問題について振り返る良い機会になりました。久しぶりすぎてど忘れしたところ、いただいたご質問にうまく返答できなかったところもありましたが、個人的には大変エキサイティングな勉強会、有意義な時間となりました。一発本番の収録イベントに慣れていない私の経験不足もあって、あたふたドキドキの2時間でしたが、進行役の五十嵐さん、市川さんにはうまくフォローしていただき、なんとか乗り切ることができました。この場を借りて御礼申し上げます。

2022年12月13日火曜日

『ガエ・アウレンティ 日本そして世界へ向けた、そのまなざし』展

 イタリア文化会館で『ガエ・アウレンティ 日本そして世界へ向けた、そのまなざし』展があり、12日の記念シンポジウムに登壇してきました。シンポジウムは陣内秀信先生の進行で、ミラノのガエ・アウレンティ・アーカイブをはじめとする専門家も登壇されました。ガエ・アウレンティと協働経験のある徳家統さんのお話をうかがう貴重な場でもありました。展示された図面や模型は、彼女の作品を全体的に眺めるのには程良い点数でした。なにより文化会館自体がガエ・アウレンティの作品であり、展示品と展示空間の絶妙な一体感を味わうこともできました。展覧会を記念して図録も出版されました。私は「建築家ガエ・アウレンティの足跡」という論考を書かせていただきました。この企画においては、文化会館館長のシルヴァーナ・デ・マイオ氏に大変お世話になりました。謹んで御礼申し上げます。

2020年10月20日火曜日

『評伝フィリップ・ジョンソン 20世紀建築の黒幕』

 左右社から『評伝フィリップ・ジョンソン 20世紀建築の黒幕』が出版されます。マーク・ラムスターによる建築家フィリップ・ジョンソンに関する評伝の翻訳本で、私は監修をさせていただきました。ジョンソンの代表作「ガラスの家」を訪れたのはもう10年ほど前になります。本作がミースの作品と似ているなぁとは思ってはいましたが、なぜそうなのか、についてはモヤモヤした状態でしたので、あらためてラムスターの本には学ぶところ大でした。原著タイトルは「ガラスの家の男」ですからね。翻訳を担当したのは松井さんです。500ページもの大著をよくぞ訳し切ってくれました。編集担当の東辻さんにも大変お世話になりました。お二人には感謝申し上げます。本書のお話があったのは2年前くらいですが、本書にも登場するドナルド・トランプが大統領でいるうちになんとか刊行の運びになりました。トランプとジョンソンにどんなつながりがあったのか、ぜひ本書を手にとってみてください。

2020年4月30日木曜日

『リノベーションからみる西洋建築史』が出ました

 彰国社から『リノベーションからみる西洋建築史 歴史の継承と創造性』が出版されました。古代から現代まで、リノベーションの視点から西洋建築史を読み解いたものです。私は一番最後の20世紀を執筆担当させていただきました。石造文化の西洋世界は、文化遺産の意識が芽生える以前から、既存の物に新しい時代が手を加えることを続けてきました。現代のわれわれは、リノベーションという言葉で、その伝統をあらためて振り返り、これまでとは一味違った発見をすることができます。歴史の読解とはすなわちいつでも現代的なものです。だから、新しい建築史の本が出てくるんですね。企画に誘ってくれた加藤さん、編集取りまとめをしてくださった鷹村さんには謹んで御礼を申し上げます。

2020年3月31日火曜日

『建築雑誌』2020年3月号に寄稿しました

 日本建築学会『建築雑誌』の2020年3月号に、拙論「それでも歴史は建築学を動かす」を寄稿いたしました。本号の特集「歴史の効用」に対して、自分の考えをまとめたつもりです。建築学のなかで歴史を論じること、それ自体が実に貴重なことだと思います。制度上、建築学の上位に工学があることを思うにつけその思いは強くなるわけですが、建築学における「歴史の効用」を考える上で、歴史、建築、工学(あるいは科学)の関係を既成の色眼鏡によらず多角的に見直すことは必須の作業と言えるでしょう。職場で若い学生に接する機会が多いのですが、いまだに理系だ文系だっていうしがらみが根強くありますよね。それまでの教育経験を映し出しているんでしょうけれど、理系/文系、枠組みを自身に当てはめても良いことありませんよ。建築学に身を置くからこそインターディシプリナリーを大いに謳歌してほしいと思います。