2018年6月4日月曜日

『CASABELLA JAPAN』883号

今回の寄稿テーマは、建築が自然をどのように利用してきたか、場合によっては、建築化される自然、についてです。建築に用いられる技術が高度化されるにしたがって、自然の取り込み方もずいぶん変わってきました。現代建築では建築があたかも自然をまとうような表現も出てきています。このようにハイテクが深化することと、プリミティブな自然への回帰、この相反する要求がますます絡み合ってきているのが建築の現状には読み取れます。もともと自然との一体性の強い日本建築の伝統も、こうした文脈の中で再評価されるのかもしれません。

2018年5月27日日曜日

ヴェネツィア・ビエンナーレ

バチカンがヴェネツィア・ビエンナーレに初参加するとのこと。カザベラ編集部よりせっかくオープニング・レセプションの招待状を送っていただいたので、がんばって行ってみることに。18時からとは言え、気温30度にとどくかというくらい強い日差し。おまけにサン・ジョルジョ島へアクセスする水上バスは招待客で大混雑でした。島へ上陸後、会場である庭園の奥へ少しずつ誘導される。そろそろ、アペリティーボでも振る舞われるのかなと期待していたが、特にその気配なく。牛歩を繰り返し、ようやくお目当てのチャペル群が見える。本企画はダル・コーのプロデュース。アスプルンドのチャペルを除けば、フォスター卿、藤森照信さんなど10名の作家が作品を手がける。フォスターが手がける木造、なかなかレアでした。藤森さんにご挨拶をしつつ、すべてのチャペルを巡回。ラグーナにいながら、人の波をかき分けるのに苦労しました。でも、行ってよかった。ちなみに、帰りの水上バスも大混雑だったことは言うまでもありません。翌日は、本会場も回ってきました。フリースペースというテーマだけに、コンテンツ盛りだくさん。こちらもおもしろかったです。

2018年4月5日木曜日

オーム社「建築について考える」のYA-HOUSEレビュー

オーム社ウェブ企画「建築について考える」に、窪田勝文さんのYA-HOUSEのレビューを書かせていただきました。窪田さんの建築は海外の建築雑誌でも取り上げられるフォトジェニックな作品ばかりですが、実際に住宅内部にまでお邪魔して取材をさせていただくのは今回がはじめてでした。タイトなスケジュールのなか、設計者の窪田さんにもじっくり話をうかがうことができ、実に貴重な機会となりました。YA-HOUSEにとどまらず、昨今の建築事情にも話は及びました。現場で挑戦を続ける建築家の話は大変参考になります。結果、午後いっぱいサロンに長居させていただきました。お施主様には大変ご面倒をおかけしました。この場を借りて御礼申し上げます。レビューは次のリンクから御覧ください。http://architecturalpride.com/column/%E3%80%8Cya-house%E3%80%8D

2018年3月16日金曜日

『CASABELLA JAPAN』881号に寄稿しました

今回の論題は「時空の広がりと世界の掌握」です。すなわち、西洋列強による海外進出が国力増強の重要な要件になりつつあった時代です。物、人、情報が動きます。ときに強引に動かされます。そのおかげで経済が回ります。建築も当然、その勢いに乗っかりました。建築文化も新たな局面を迎えます。こうして、ヨーロッパにおけるエキゾチシズムは開花しました。シノワズリー、ジャポニズムと呼ばれる東アジア・ブームもその一部として捉えるべきでしょう。他者を捉えるまなざし、これが世界を把握する際にも重要な役割を帯びてきます。建築家の制作に、まざまざとそれを読み取ることができます。

2018年3月13日火曜日

『福祉転用による建築・地域のリノベーション』に寄稿しました。

学芸出版社から新刊書『福祉転用による建築・地域のリノベーション』が送られてきました。本書において、私は、第3章7節「福祉転用による歴史的建造物の継承」を執筆させていただきました。自分のこれまでの仕事からすると、実にフレッシュな挑戦になりました。同時に、歴史的建造物を保存活用するための現実的課題を知るまたとない機会にもなりました。この仕事は、大学の同僚の山田あすかさんに声をかけていただき、現地に赴き、一緒に調査をし、イベント、数度の会議を経て、書籍になりました。本当にありがたく思います。当時大学院生であった浅川巡さんにもさまざまな作業をしてもらいました。記して御礼申し上げます。

2018年1月19日金曜日

『CASABELLA JAPAN』879号に寄稿しました

今回のメインテーマは新古典主義あるいは合理主義です。そう言えば、この間パリで、「球体と建築」という展覧会があったので覗いてみました。内容は、古代に2,3の例を引いた後、やはり大きな流れを作るのは18世紀からという筋。カザベラ稿の内容とも一致するので一安心。ちなみに、21世紀の例は僕には理解不能でした。さて、稿にも登場するニュートンの偉業を記念するプロジェクトですが、ブレーにかぎらず、当時、実にさまざまなアイデアがあって、ロンドンの未完プロジェクトなんかとてもおもしろかったです。建築に再現される球体には天球と地球の両モデルが存在すること、大々的な再現は20世紀に至り、万博パヴィリオンとして実現されていくこと、などを理解しました。残念ながら図録が用意されていなかったので、本展覧会で得られた情報はパンフだけが頼りなんですが、通常の建築展とは一味違った視点がかなり新鮮で、カザベラ稿を脱稿した後の僕にとってはタイムリーでした。

2017年11月26日日曜日

『CASABELLA JAPAN』877号に寄稿しました

今回はバロック、古典主義の広がりがテーマ。以下、余談。日本から見ると、イエズス会の建築がこのテーマに引っかかりますね。ローマにあるイエズス会の総本山がイル・ジェズと呼ばれる教会ですが、このファサードは造形的には平板でローマ・バロックとはあまり縁がないのですが、世界的普及度から言えば、平板であるからこそ真似がしやすかった。結果、ベルニーニやボッロミーニの建築がローマのみにとどまる傑作であるのに対し、イル・ジェズのファサードは世界中に広がります。主にスペイン人やポルトガル人が広めたキリスト教建築も平板なファサードに、ゴテゴテと装飾が加えられているケースが多いですね。このようにローマ・バロックを相対視すると、世界的に普及した古典主義の流れが見えてきます。そこにイギリス、アメリカのパラーディアニズムも重ねて見ると時代論としてうまく整理できるような気がします。