2020年10月20日火曜日

『評伝フィリップ・ジョンソン 20世紀建築の黒幕』

 左右社から『評伝フィリップ・ジョンソン 20世紀建築の黒幕』が出版されます。マーク・ラムスターによる建築家フィリップ・ジョンソンに関する評伝の翻訳本で、私は監修をさせていただきました。ジョンソンの代表作「ガラスの家」を訪れたのはもう10年ほど前になります。本作がミースの作品と似ているなぁとは思ってはいましたが、なぜそうなのか、についてはモヤモヤした状態でしたので、あらためてラムスターの本には学ぶところ大でした。原著タイトルは「ガラスの家の男」ですからね。翻訳を担当したのは松井さんです。500ページもの大著をよくぞ訳し切ってくれました。編集担当の東辻さんにも大変お世話になりました。お二人には感謝申し上げます。本書のお話があったのは2年前くらいですが、本書にも登場するドナルド・トランプが大統領でいるうちになんとか刊行の運びになりました。トランプとジョンソンにどんなつながりがあったのか、ぜひ本書を手にとってみてください。

2020年4月30日木曜日

『リノベーションからみる西洋建築史』が出ました

 彰国社から『リノベーションからみる西洋建築史 歴史の継承と創造性』が出版されました。古代から現代まで、リノベーションの視点から西洋建築史を読み解いたものです。私は一番最後の20世紀を執筆担当させていただきました。石造文化の西洋世界は、文化遺産の意識が芽生える以前から、既存の物に新しい時代が手を加えることを続けてきました。現代のわれわれは、リノベーションという言葉で、その伝統をあらためて振り返り、これまでとは一味違った発見をすることができます。歴史の読解とはすなわちいつでも現代的なものです。だから、新しい建築史の本が出てくるんですね。企画に誘ってくれた加藤さん、編集取りまとめをしてくださった鷹村さんには謹んで御礼を申し上げます。

2020年3月31日火曜日

『建築雑誌』2020年3月号に寄稿しました

 日本建築学会『建築雑誌』の2020年3月号に、拙論「それでも歴史は建築学を動かす」を寄稿いたしました。本号の特集「歴史の効用」に対して、自分の考えをまとめたつもりです。建築学のなかで歴史を論じること、それ自体が実に貴重なことだと思います。制度上、建築学の上位に工学があることを思うにつけその思いは強くなるわけですが、建築学における「歴史の効用」を考える上で、歴史、建築、工学(あるいは科学)の関係を既成の色眼鏡によらず多角的に見直すことは必須の作業と言えるでしょう。職場で若い学生に接する機会が多いのですが、いまだに理系だ文系だっていうしがらみが根強くありますよね。それまでの教育経験を映し出しているんでしょうけれど、理系/文系、枠組みを自身に当てはめても良いことありませんよ。建築学に身を置くからこそインターディシプリナリーを大いに謳歌してほしいと思います。