2017年11月26日日曜日

『CASABELLA JAPAN』877号に寄稿しました

今回はバロック、古典主義の広がりがテーマ。以下、余談。日本から見ると、イエズス会の建築がこのテーマに引っかかりますね。ローマにあるイエズス会の総本山がイル・ジェズと呼ばれる教会ですが、このファサードは造形的には平板でローマ・バロックとはあまり縁がないのですが、世界的普及度から言えば、平板であるからこそ真似がしやすかった。結果、ベルニーニやボッロミーニの建築がローマのみにとどまる傑作であるのに対し、イル・ジェズのファサードは世界中に広がります。主にスペイン人やポルトガル人が広めたキリスト教建築も平板なファサードに、ゴテゴテと装飾が加えられているケースが多いですね。このようにローマ・バロックを相対視すると、世界的に普及した古典主義の流れが見えてきます。そこにイギリス、アメリカのパラーディアニズムも重ねて見ると時代論としてうまく整理できるような気がします。