2018年8月1日水曜日

『CASABELLA JAPAN』885号「建築の美はどこに」

今回の論考は「建築の美はどこへ」と題するものです。ルネサンス以降、建築家のステイタスを支えてきた美の取り扱い、これが古典主義的伝統崩壊の後どうなっていくのかという問題について考察しています。当然、現代あるいは近代社会における装飾のあり方がポイントになります。よく、20世紀建築は装飾を否定した、というような説明の仕方がありますが、たしかにそうした主張を持つ建築家がいたことは事実です。ただ、けっして社会の多数派すなわち大衆が装飾に無関心だったわけではありません。むしろ社会に装飾は浸透しきったのであり、必要あらばいつでも呼び出される状態になったと言うこともできます。同時に、美のあり方も装飾の有無に関係なくますます多様化しました、そんなことを書き綴っています。