2016年12月10日土曜日

『建築史とは何か?』が出ます

まもなく中央公論美術出版から訳書『建築史とは何か?』が出ます。さきほど出版社より、書籍が届きました。なるべくリーズナブルな価格でという戦略もあり、コンパクトでハンディーなボリュームにまとまりました。原稿校正したとき以上に、紙面に高い密度を感じます。訳書オリジナルの表紙カバーには、いろいろと悩みましたが、フィレンツェ都市景観を採用しました。西洋建築の知的活動が旺盛に展開されるようになったルネサンス、その象徴的な都市であることはもちろん、やはり見た目にきれいです。ちなみにカバーを取ると本体の表紙は、ニューヨーク・マンハッタンの景観になっています。こちらは20世紀を象徴する都市と建築。フィレンツェからニューヨーク、このパースペクティヴが本書内容の幅の広さを示すんじゃないか、そんなメッセージを編集担当の鈴木さんと話して決めました。まぁ、わかる人にわかれば、というくらいの仕掛けです。
ようやく、というのが率直な感想です。プロジェクトに着手したのは、もう5年も前のアメリカ滞在中だったので。あの頃ちょうど1-2月は大雪で、外に出るのもかなりしんどかったから、自宅でせっせと翻訳に没頭していました。いまはとてもそんなことはできないので、ずいぶん貴重な時期だったんだなと懐かしく思い出されます。
訳書あとがきに書けなかったこと。この本は恩師が存命であったら、一番おもしろがってくれただろうなぁ、と強く思います。それが残念でなりません。